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補助金受給期は圧縮記帳の検討をお忘れなく

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確定申告期が終わろうとしている。

法人も含め、アフターコロナにおける特徴を一つ上げるとすると、各種助成金、補助金の受給が多くみられるということである。

助成金等でも厚生労働省系の雇用関係の助成金と、経済産業省系の新規投資への補助金と大別することができるが、特に後者の経済産業省系の補助金については、その会計処理について注意が必要である。

 

弊社の顧客においても、いわゆる「事業再構築補助金」で大きな補助を得ている方がいた。

そのお金は支援金ではなく、支出の補助金であるため手元に残るお金ではない。

ところが、経理上補助金は「雑収入」となり投資額は「固定資産(減価償却により耐用年数期間で損金化)」となるため、何もしないでいると手許に無い多額の雑収入に税金がかかることになる。

補助金を得たその方はその資金繰りに悩まれていた。

国は上記のような事態を想定し「圧縮記帳」という経理処理により一時の収入に対して偏った課税がされることを回避する手段を残している(法法42~50)。

圧縮記帳についての具体的な方法については、国税庁HPなどでご確認していただくことにするが、注意しなければならないのは、圧縮記帳は「しなければならない」という強制規定ではなく、「経理処理した場合には損金の額に算入する」という任意規定であるということである。

そして、失念等により圧縮記帳の選択をしなかった場合は、遡って修正申告することはできない。

圧縮記帳は返還不要の補助金等の額が確定した事業年度で選択適用しなければならない。

また、この選択適用ミスは税理士損害賠償保険の対象にもならないため(圧縮記帳は税の減免ではなく繰り延べであるため)、非常に注意が必要な制度である。

 

個人の譲渡所得における措置法の適用についても任意選択適用であり、その適用ミスが税賠事案になってしまうため気が休まることはない。

ホームページ等で格安報酬をうたった会計事務所が散見されるが、下手を打てば事務所が傾きかねないような申告を子供の小遣い程度の報酬で受注する気が知れない、と思うのは私だけか。

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