確定申告期が終わった。今年は、顧客である不動産業者様からのご紹介もあり、不動産譲渡所得の申告を数多くお手伝いさせていただいた。案件の約7割は相続に伴うものであったが、残る3割は収益物件の売却によるものであった。
その中で特に印象に残ったのは、借入をして不動産投資を行っている方々の不動産所得が、ほぼ例外なく赤字になっていたことである。その大きな要因は、やはり金利の上昇にある。
低金利時代、不動産投資を行う方の多くは、1%未満の金利で融資を受け、変動金利で物件を取得していた。ちなみに、10年前の2016年3月の長期プライムレートは0.95%であったが、2026年3月には2.8%となっている。実に約3倍である。
ある納税者の貸マンションに係る不動産所得をみると、家賃収入のうち約60%が支払利息、30%が減価償却費、10%が固定資産税で占められていた。これに修繕費や管理費が加われば、赤字になるのは当然である。
ご存じの方も多いと思うが、不動産所得の赤字は単純に他の所得と損益通算できるわけではない。借入金利子のうち、土地の取得に対応する部分は損益通算の対象外となるためである。そのため、不動産所得が赤字であっても、期待したほど節税効果が出ない場合も少なくない。
足元では物価上昇が続いており、金利が大きく下がることは考えにくい。一方で、実質賃金の伸びが十分とはいえない中、家賃の引上げはオーナーにとって容易な判断ではない。そうなると、今のうちに不動産相場が高いうちに売却しておこうと考えるオーナーが増えても不思議ではない。
三大都市圏では、なお不動産価格は底堅く推移しているものの、地方では、とりわけ住宅地を中心に価格下落の兆しが強まっていく可能性がある。
今年の確定申告を通じて、私は「不動産投資は一つの曲がり角に来ているのではないか」と強く感じた。



