2019年2月14日、国税庁により「返戻率が50%以上の保険商品について課税方法を定めて通達を見直す」との発表があり、保険業界では「バレンタインショック」と言われているが、通達改正により節税保険商品が大幅に縮小されることとなった。
ただ、その通達は遡及されることはなく、法人保険(生命保険)では2019年7月8日以降、第三の法人保険(がん保険等)は10月8日以降の契約からとなった。
すなわち、それ以前に契約された全額損金算入保険は解約しない限り継続して全額損金算入が認められることとなり、多くの会社が未だ解約せず毎期保険料を損金計上し続けている。
保険の全額損金算入商品が無くなった反動もあり、最近多いのは航空機やコンテナなどの高額リース商品である。
一口1000万円以上から10年間リース契約をし、10年後に解約するというケースが多いが、これも全額損金算入可能、10年後に一括益金計上である。
ただし、コンテナ船や航空機が事故にあって全損となった場合、掛け金は水泡に帰す。
いずれにせよ上記のスキームには“出口問題”という大きな課題が待ち受けている。
会社の業績が好調で、毎期保険料やリース料を支払えているのは結構なことだが、このスキームは結局のところ「課税の繰り延べ」に過ぎない。
支払保険料が積み上がるほど解約返戻金が大きくなり、当然に解約時の法人税が大きくなる。
では、出口戦略の必要ない税金対策はあるのか。
私は“人材投資”こそが最も有効な税金対策であると断言する。
給与の引き上げや教育研修関連費用は、言うまでもなく即時損金計上可能な経費である。
2024年9月時点では、税額控除や補助金といった特典まで付く。
確かに、人はいつまで就業してくれるか保証はない。
ただ、社歴の長い人材は会社の将来収益の源泉でもある。
将来にわたり確実に現役日本人の減少する今こそ、人材投資による節税を意識すべきである。