日本は申告納税制度を採用して国家の運営をしている。
申告納税制度とは、国民各々が自分の所得を計算し申告納税する制度で、国家が一方的に客観的要件で課税をする(昔の人頭税等)賦課課税制度と対比されることが多い。
「民主主義の根幹をなす」とも言われる申告納税制度ではあるが、国家も国民の申告を盲目的に信じてくれるほど甘くはない。
定期的に納税者を抽出して、確定申告書の内容について調査を実施している。
それを税務調査というわけだが、今回はその税務調査について整理させていただく。
税務調査は大きく分けると二つに大別される。
一つは「強制捜査」で裁判所の令状を得て強制的に実施される調査である。
事前連絡は無く拒むこともできない。
もう一つは「任意調査」といわれるもので、通常実施される税務調査はこちらに該当する。
任意調査はさらに2つに分かれ、「準備調査」と「実地調査」に大別されるが、準備調査は実地調査のための準備で「机上調査」と「外観調査」に分けられる。
実地調査も「一般調査」「特別調査」「反面調査」「現況調査」などに分けられるが、通常の調査は一般調査と言われるもので、納税者から提出された税務申告書が適正か否かを調べることが目的となる。
現況調査は「抜き打ち調査」とも呼ばれ、事前連絡はない。
多くが税務署へのタレコミなどで情報が得られ、事前に連絡すると証拠隠滅などの恐れがあるためである。
以上、「税務調査」にも多くの種類があることをご理解いただければと思う。
弊社の顧客ではないが、一般納税者から「税理士は税務署寄り」と言われることがある。
税務調査対応に不満があっての意見だとは思うが、国税OBの税理士でもなければ、決して頭から税務署寄りということはない。
国家権力とケンカすることの金銭的時間的精神的コストを考えると、お金で済むなら税務行政に協力しておくことの方が賢明であることを税理士は知っているのである。