税務コラム

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「最低賃金1,500円は実は1860円」:最低賃金の引き上げは、解雇規制の一部撤廃と公正取引法の一部適用除外とセットで

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選挙が終わった。軒並み野党は最低賃金を時給1,500円にすると叫んでいた。物価高に応じて給料も上げるようにしたいらしい。しかしながら、物価高は消費者だけではない。企業も同じである。企業にすれば、原材料高に人件費まで約5割近く上昇するのだからたまったものではない。よって、「手取りを増やす」と主張した国民民主党は現実的かと思う。

そう、税金も社会保険も高すぎるのである。

財務省や厚労省は、人件費があがればそれに応じて所得税や社会保険料も上がっていくので望ましいに違いない。そうすると穿った見方もしたくなる。時給1500円は決して有権者を向いて主張しているわけではなく、官僚に向けて言っているのではないか、または官僚に言わされているのではないか。

政治家がマリオネットに見えてくる。

現在、兵庫県の最低賃金1,051円。ここに社会保険料が乗れば企業負担分15%増しの1,208円となる。また、パートにも有給休暇を与えないといけない。年10日の有給を取得した場合、約4%時給があがるので約1,250円となる。

さらに、人を雇えば企業には源泉徴収義務が課されているため、給与計算や年末調整といったバックオフィス業務が不可欠となり、そのコストも賦課すれば時給1,300円は超えてくる。表向きの最低時給1,051円に対して約24%も高い。

それを、1500円をベースに計算すると1,860円。
そして、一度雇用すれば企業サイドからレイオフすることは基本的にできない。多額の退職金が必要となる。

ここまで、被雇用者寄りにするのであれば、雇用者寄りの政策も実現してもらわなければ困る。

解雇規制の一部廃止(成果を出せない人のレイオフの簡易化)と資本金1億円以下の企業への公正取引法の適用除外(談合の一部許容)である。

車は左右両輪の大きさを同じにすることで直進する。
社会も同じと考える。

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